2012年4月8日日曜日

最近読んだ本

「五000年前の日常 シュメル人たちの物語」  小林登志子著 新潮選書
「古墳時代史の展開と東北社会」  菊地芳朗著  大阪大学出版会
岡正雄論文集「異人 その他」  大林太郎編  岩波文庫
「古墳時代の埋葬原理と親族構造」  清家章著  大阪大学出版会
古墳時代の考古学1「古墳時代の枠組み」 一瀬和夫 福永信哉 北条芳隆編 同成社

古墳時代中期の土器の大変革とは、出現期や前期のような人やモノの移動に大きくシフトしたものではなく、生活様式そのものの変化であったことを示唆している。また、このような選択的ともいえる文物の消長は、東日本の在地社会側の嗜好・必然による取捨選択が存在していたことを示している。このように土器の変化を相対化し再考すると、じつは古墳時代前半期に実現された斉一的な土器様相は、むしろ長い酸化炎焼成土器の歴史のなかで、古墳時代という時代的枠組みの生成過程で特徴的に起こった事象である可能性が浮上してくる。弥生土器の地域色は、古墳時代の後半期にはふたたび明瞭な地域色として復活している。もちろん弥生後期の土器生産体制自体が復活するわけではない。古墳時代後期の各地の主導者層の地域的支配体制の変質がローカルな紐帯の再顕在化を引き起こしたのであろう。群集墳・横穴墓の爆発的な拡大、ひいては国造制の成立など新たな社会の枠組みの形成と因果関係のある事象であろう。  (西川修一さん)

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